第221話さすがに株を手放すのは簡単ではない

「ごめんなさい。急いで動くしかなかったの。ジェームズに、車の中にあなたがいるって気づかれたくない。もし見つかったら、きっと面倒を起こすし、あなたの正体だってバラしかねない!」

ジェームズが味方なのか敵なのか――それはまだ判然としなかった。

ダニエルは以前、彼女のせいで一度危険な目に遭っている。エミリーは、これ以上自分のせいで彼を巻き込みたくなかった。

エミリーは、熱いコンロに触れたかのように、さっと手を引っ込めた。

ついさっきまで、彼女は両手をダニエルの顔の前にかざしていたのだが、彼はそれを誤解したらしく、顔を彼女の手のひらに押しつけてきたのだ。

ジェームズに顔を見られないよう、エミ...

ログインして続きを読む